8月10日、ドイツハイデルベルグ社より、デジタル印刷機「Versafire (バーサファイア)」の製品担当、マーク・イーレンフェルトとマーク・シュミッツが来日し、製品の特長や日本市場の展望について語りました。
グローバル市場におけるバーサファイアの位置付けをどのようにとらえていますか?
イーレンフェルト:ご存じの通り、印刷のロット数は、今、世界中で小ロット化が進んでおり、それに伴い、極小ロットに強みが発揮できるデジタル印刷機の導入は、ますます魅力的な存在になっていると思います。そうした流れの中、オフセット印刷を核として長年、世界の印刷業界の発展に貢献してきたハイデルベルグがデジタル印刷市場にご提供する柔軟性の高い、「バーサファイアCV」とパフォーマンスクラスの「バーサファイアCP」は、間違いなく世界の印刷会社にとってお役立て頂ける印刷機であると信じています。
そして、これまで1500機以上のバーサファイアが世界のグラフィック市場に導入されたことは非常に画期的な事実であり、これは、デジタルとオフセット技術の絶妙な相互作用が、我々のお客様の利益になるということを証明しています。
数あるデジタル印刷機の中でバーサファイアシリーズの特長は何でしょうか?
シュミッツ:広範な色域と低融点トナーを搭載したデジタル印刷は、バーサファイアシリーズの要となる特長です。これにより、例えば、オフセット印刷が適していた画像や色を使った耐熱合成繊維のような幅広い素材への印刷が可能になります。5色の印刷が可能な「バーサファイアCV」は、間違いなく他社とは一線を画します。
「バーサファイアCV」は、CYMK、ホワイト、クリア、ネオンイエロー、ネオンピンク(日本では今年12月より販売予定)での印刷が可能ですが、これは同クラスでは唯一です。また、バーサファイアCV、バーサファイアCPの両機は、印刷する材質を選ばない柔軟性が特長です。さらに、当社独自のDFE(デジタルフロントエンド)「プリネクトDFE」をワークフローソリューション「プリネクト2018」に統合することにより、デジタルとオフセットのジョブを、一つの生産ワークフローに統合することができます。
この本格的なオフセット・デジタルハイブリッドワークフローがまさに、他社製品にはない強みと言えます。
日本市場におけるバーサファイアに、今後どのような成長を期待していますか?
イーレンフェルト:日本のお客様は、世界の中でも特に品質に厳しいと聞いています。だからこそ、これまで多くのお客様に高品質な印刷が実現できるハイデルベルグのオフセット印刷機をご利用頂いてきたのだと思います。
ハイデルベルグのデジタル印刷機バーサファイアも、オフセット印刷機同様、そうした日本のお客様の厳しい要求にこたえることのできるデジタル印刷機です。
5色目で可能となるスポットカラーや、メディアの柔軟性という特長を生かすことで他社との差別化ができ、お客様のビジネスの成功に貢献できると信じています。そして、ハイデルベルグのデジタル印刷機でのお客様の成功が、我々の成長につながっていくと思います。
リコー社が同様のデジタル印刷機を販売していますが、ハイデルベルグのデジタル印刷機を購入することは、お客様にどのようなメリットがあるでしょうか?
シュミッツ:最大の違いは、当社のプリネクトソフトウェアです。日常の生産をより効率的かつ柔軟にするツールとして、プリネクトDFEとプリネクトPDFツールボックスを提供しています。
プリネクトDFEをオフセットワークフローに統合するハイブリッド生産でも、このツールを使用すれば、わずか一回のクリックで操作は完了です。また、最新のバーサファイアシリーズは、業界でも突出したワークフローソリューションであるプリネクト2018に統合することができます。
最新バージョンのプリネクトは、モンタージュエディターやプレビュー機能、またユーザーインターフェースが改良されましたが、これらの改良には、お客様のフィードバックが随所に反映されています。
オフセット印刷会社がデジタル印刷機を導入することで生まれる価値とはどのようなことでしょうか?
イーレンフェルト:小ロットでの費用対効果に優れているという事だけでなく、デジタル印刷はポストプレスの工程や在庫にかかる費用の削減ができるという利点があります。
丁合出力など出力順をコントロールできることで、デジタル印刷機は、オフセット印刷機以上のことができる場合があります。また、パーソナライズされた印刷やナンバリング印刷をすることも可能です。
バーサファイアのようなデジタル印刷機が提供できるこうした新しい生産プロセスや、そうした特長が生み出すビジネスチャンスに、是非注目をして頂ければと思います。
海外でのバーサファイアの導入例を教えてください。どのように使われているのでしょうか?
シュミッツ:言うまでもなく、多くのお客様がバーサファイアを小ロットのお仕事に活用されています。特に、オフセット印刷機と組み合わせ、ロットによって使い分けることで、うまく活用されているお客様が多いのではないかと思います。
また、繰り返しになりますが、バーサファイアCVのホワイト、クリア、ネオンイエローと最新のネオンピンクなどの5色目の特色は、とても印象的な印刷物を製作することができますので、そうした点を活かしてお客様のプロモーションツールとして提案されているケースが最近増えてきています。また、バーサファイアは、最大700mmの長尺に対応しますので、A4 6ページ分の印刷にも多く使われています。
デジタル印刷機の展望についてお聞きします。今後の成長に欠かせない要素は何でしょうか。
イーレンフェルト:バーサファイアのようなデジタル印刷機は、使いやすさ、メディア柔軟性、特色の数、安定性や処理能力向上といった要素が更に求められてくるのだと思います。
インクジェットの技術は、ますます一般的になるでしょう。そして、今は考え付かないような、様々な要素が更に加わることで、デジタル印刷分野の印刷用途そのものにも、思いもよらない趣向を加えることができるようになると思います。
ハイデルベルグ社内のチーム、例えばプリネクト、枚葉印刷機、ポストプレスや印刷必需品担当部署は、顧客に利益をもたらすために互いにどのように関係しているのでしょうか。
イーレンフェルト:ハイデルベルグは、”Heidelberg goes digital”というテーマの元、印刷業界における先駆的な地位をより一層強固なものにすべく、すべての部門が常に連携しながら、お客様にトータルな最高のソリューションをお届けするという目標に向かって、弛まない努力を続けています。
実際に、社内の強い連携が「プリネクトインテグレーション」の成功の鍵となりましたし、「Simply Smart(シンプリースマート)」というdrupa 2016で発表したコンセプトは、お客様の間だけでなく、先に述べた目標達成のために社内でも広く定着しています。