ハイデルベルグ・ジャパン株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役社長:ソーレン・フェーバー・ラーセン)は、株式会社タナックス(本社:京都市下京区、代表取締役社長:田中慶治)の本社工場(京都府綴喜郡宇治田原町)に、ニスコーター付の菊倍判6色UV印刷機「スピードマスターXL145-6+LUV」を納入し、2012年3月30日(金)、両社の関係者立ち会いのもとで起動式を執り行いました。
この印刷機はハイデルベルグがdrupa 2008で発表した最新鋭の倍判(VLF-Very large format)印刷機で、国内では初めての導入となります。株式会社タナックスではスピードマスターXL145の導入に先立って、2011年春には菊倍判対応のサーマルCtP「スープラセッター145」とプリネクトワークフローも導入。
ハイデルベルグ・ジャパン株式会社のコンサルティングチームも入り、印刷プロセスの標準化を定めたPSO(Process StandardOffset)を認証取得(製版部門と印刷部門)するなどプリプレス環境の整備にも着手してきました。今回の起動式を機にプリプレスからプレスまで、ハイデルベルグの一貫したプリネクトワークフローによる倍判オフセット印刷機の本格的な稼働が始まります。
ハイデルベルグ・ジャパン株式会社の代表取締役社長であるソーレン・フェーバー・ラーセンは次のように語っています。
「印刷物の小ロット化と高品質化という潮流のなかで、従来倍判の枚葉印刷機は時代遅れの装置であるとの認識が存在しました。しかしながらハイデルベルグスピードマスターXL145/162は、その業界の常識を打ち破る画期的なイノベーションをもたらしています。世界中でわずか100枚からの印刷に対応するこの新しい倍判機が受け入れられており、今回株式会社タナックス様に第一号機を納入できたことを大変嬉しく思います。」
ハイデルベルグの最新技術を駆使した倍判(VLF)印刷機
スピードマスターXL145/XL162は、ハイデルベルグが蓄積してきた枚葉オフセット印刷機の豊富な経験をベースに、最先端の技術を駆使して開発された新世代の倍判(VLF)印刷機です。
XL145は菊倍判(106×145cm)、XL162は四六倍判(121×162cm)モデルです。フィーダからデリバリまで徹底した人間工学設計により、従来の倍判印刷機と一線を画したすぐれた操作性・作業性を実現。フィーダ/デリバリ部の自動プリセット機能、全版自動交換装置「オートプレートXL」、同時洗浄プロセスなど高度な自動化機能を満載し、前準備時間を劇的に短縮しています。
毎時15,000枚(両面機は毎時13,000枚)という最高印刷速度と相まって、その生産性は市場にある同サイズの印刷機と比べて20%-30%も向上しています。
ハイデルベルグの倍判(VLF)印刷機はdrupa2008での発表以来、世界各国の印刷会社に納入されてきましたが、今回の「スピードマスターXL145-6+L UV」が国内一号機となりました。
オフセット印刷の可能性を広げるスピードマスターXL145
株式会社タナックスの本社工場では、これまでオフセット印刷の仕事を四六判4色機とA倍6色機で処理してきました。今回の「スピードマスター XL145-6+L UV」はA倍6色機の更新機として導入されました。
フィルム、ユポ、PETなど特殊原反への対応を考えて、インキも従来の油性インキからUVインキに変更 しました。ハイデルベルグの印刷機を選んだ理由について同社の取締役執行役員である大﨑一彦氏は次のように語っています。
「当初は他社の倍判印刷機を考えていたのですが、ハイデルベルグさんでも倍判の印刷機を出すと聞いて興味を持ったのがスピードマスターXL145 でした。従来の倍判印刷機と一線を画した先進性がとても魅力的でした。UV仕様としたのはオフセット印刷の持つ可能性をさらに広げたいと考えたからです」
昨年末の導入以来、試運転を続けていたスピードマスターXL145に対する社内の評価はとても素晴らしいものでした。従来の倍判機と比べて操作性、作業性にすぐれ、稼働時の音もとても静かだとのことです。
プリネクトプレスセンターによる集中制御、そして精密で堅牢なハイデルベルグならではの印刷機づくりの真髄が、同社でも高く評価されました。生産性、作業性/操作性、品質、プリネクトワークフローによる一貫性によって包装資材におけるオフセット印刷の新たな可能性を創造する印刷機として大きな期待を担っています。
環境保護活動を積極的に推進する株式会社タナックスとハイデルベルグ社
株式会社タナックスでは、同社が生産する店頭販促物と商業包装材において、原材料の選定から商品の企画・設計、製造、梱包・配送・回収、リサイクル、廃棄まで、製品のライフサイクル全般で環境負荷の低減に配慮し、これらの製品を独自の基準で評価・認定する「ちゃんとエコ」ラベル制度を実施しています。
この「ちゃんとエコ」ラベルはISO14021に準拠した環境ラベルとして環境省ホームページ内の環境ラベルデータベースにも登録されています。こうした環境保護活動の一環として平成13年には環境マネジメントの国際規格ISO14001を認証取得。平成22年にはFSC森林認証とPEFC森林認証のCoC認証も取得しています。
今回、認証取得したPSOも印刷品質の安定化だけではなく、環境負荷の軽減という同社の企業理念に沿ったものでした。
ハイデルベルグもまた、ドイツにあるすべての製造開発拠点でISO14001環境マネジメントシステムを導入するなど、環境保護につねに積極的に取り組んでいます。
顧客である印刷関連会社に対しても、省エネ、省電力の製品開発やカーボンオフセット印刷の導入支援などを通じて、環境への負荷が少ない持続可能な印刷ビジネスの構築をサポートしています。
株式会社タナックスがハイデルベルグの製品を導入した背景には、こうしたハイデルベルグの環境理念への共感もありました。
印刷機の本格導入に先立ってプリプレス環境を整備し、PSOも認証取得
株式会社タナックスは、新しい印刷機を導入するだけでなく、プリプレスからプレスまで一貫した生産体制の構築を目指しました。従来、外注していた製版工程を内製化することで、印刷品質の安定化を図ろうと考えたのです。
同社が手がける商品POPなどでは非常にシビアな色再現が求められます。しかし色校とまったく同じ色を本刷りで再現するには大変な労力がかかります。オペレータの技量や気分に左右される場合もあります。
立ち会い時に色校正と印刷の色の違いで「お客様に我慢していただくケースもあった」と大﨑取締役は率直に語っています。
こうした色再現の不満を解消するために、同社では印刷機だけでなく、プリプレス工程もハイデルベルグのプリネクト製品に統一することを決断しました。
「スピードマスターXL145の生産性はもちろんですが、プリネクトワークフローによる一貫したカラーマネジメント環境が構築できれば、お客様の不満は確実に解消できると考えました」と大﨑取締役は導入の目的を語っています。
こうして2011年春には菊倍判対応のサーマルCtP「スープラセッター145」を中心に、面付け、カラーマネジメント、JDF対応のPDFワークフローシステム、プリプレス/プレス工程の管理システムまでハイデルベルグのプリネクト製品が導入されました。
さらに翌年の本格稼働に向けて印刷プロセスの標準化を定めたPSO(ProcessStandardOffset)の認証取得も目指しました。
PSO認証とは、印刷の標準化に関するドイツの研究・認証機関FOGRAが実施している印刷のプロセスを標準化する認証制度で、取得すると国際規格であるISO12647に則った標準印刷が行えると国際的に認められる制度です。
同社の認証取得に際してはPSOの認証パートナーであるハイデルベルグ・ジャパン株式会社のコンサルティングチームがサポートしました。「色を数値管理できれば、オペレータの技量に左右されることなく、つねに安定した色再現が可能になり、お客様にも納得していただけると考えました。
そして2011年10月には無事、PSOを認証取得できました」と大﨑取締役は語っています。
幅広いビジネスを展開する株式会社タナックス
株式会社タナックスは、プロモーション事業と産業資材事業の2つを柱に、グローバルステージとコンシューマステージに位置する関連事業部とのシナジー効果によって独自のビジネスを展開する企業です。
プロモーション事業では、POPなど店頭演出ツールの企画設計から製造・加工・アッセンブリーまで一貫したサービスを提供。産業資材事業ではクレダンをはじめとする産業向けの包装/梱包資材から一般商品向けパッケージまで、企画開発から製造まで一貫して手がけています。
消費者とダイレクトにつながるファッション・生活雑貨のお店や京都の和風料亭を手がけるなどその活動は多岐にわたっています。創業は明治40年。昭和26年、株式会社タナカヤ設立を経て、平成16年に商号を現在の株式会社タナックスに変更しています。京都市下京区に本社を構え、全国に16の支店/営業所、8つの工場を擁しています。
同社では今回のスピードマスターXL145の導入を契機に、オフセット印刷分野でも新しいビジネス展開の可能性を探って行きたいと考えています。