業界ニーズに応えながら進化を続ける総合パッケージ印刷会社
東京都品川区に本社を構える統一印刷株式会社は、化粧品、食品、薬品、日用品などのパッケージから、説明書やラベル、パンフレット、包装紙といった関連材料まで幅広く手がける総合パッケージ印刷会社です。
昭和26年の設立以来、高度化、多様化を続けるパッケージ業界のニーズにいち早く応えることで、顧客の高い信頼を得てきました。平成17年には神奈川県藤沢市に総合工場を新設して生産部門を統合。生産効率を高めることでコスト競争力の強化を図りました。
また平成22年にはFSC COC認証を取得して、業界が求める環境ニーズに応えています。こうした先進的な取り組みの一環として、平成24年、ハイデルベルグのサーマルCtPを導入すると同時にプリプレスワークフローも一新しました。
ジョブ管理によるワークフロー構築の重要性を教えてくれたハイデルベルグ
同社では、これまで外注していた刷版出力を内製化し、外注費の削減と印刷品質の安定化を図るため、CtPの導入を目指しました。このCtP導入と同時にプリプレスの作業効率を高めるため、パッケージ専用ソフトの導入などを検討。そのなかから最終的には、ハイデルベルグのCtPとワークフローRIPであるプリネクトプリプレスマネージャー パッケージエディションを選びました。
その理由について、同社の製版責任者である階戸雅紀係長は次のように語っています。
「導入に際してはパッケージ専用ソフトも含めて、すべてのメーカーを詳しく調査しました。パッケージ専用ソフトのなかには、確かに優れた製品もありました。ただワークフローを構築するには、複数の製品を組み合わせなくてはならず、システム全体が複雑になります。その点、プリネクトは面付けからカラーマネジメント、RIP、ジョブ管理まで、すべての作業が一元的に行えます。もちろんCADデータの取り込みやパッケージ特有の複雑な入れ子面付けなどの機能も兼ね備えていました」
さらに、ワークフローにおけるジョブ管理の重要性を説いたのはハイデルベルグだけだったと階戸係長は振り返ります。
「他社は個別の機能について細かく掘り下げるだけでした。しかしハイデルベルグだけはジョブ管理とワークフローのメリットについて詳しく説明してくれました。ワークフローをよく理解していなかった私に、ハイデルベルグが別の視点からヒントをくれました」
確かにパッケージ印刷のプリプレスワークフローでは、CADデータとの連携や入れ子面付けなど一般商業印刷とは異なる独自の機能が求められます。しかし機能ばかりを追い求めて、システムが複雑になっては元も子もありません。
シンプルでムダのない流れをつくって、作業効率を高めることが重要です。同社はまさにワークフローの本質を見極めて、プリネクトの導入を決断したと言えるでしょう。
データの一元管理で作業効率を大幅に改善
新しく導入したプリネクトワークフローによって、プリプレスの作業効率は飛躍的に向上しました。階戸係長は様々な部門で管理していたデータが一元的に管理できることが素晴らしいと、次のように語っています。
「これまでは再版の仕事で『刷ってみたら前回と違うように感じるけど、誰かデータをいじっていないか』という話を良く聞くことがありました。そうなると、ありとあらゆる場所にあるデータを探し出して、原因を突き止める旅がはじまります。これがとても大変でした」
プリネクトワークフローでは、ジョブに関するデータはすべて受注番号に紐づけて保存されているため、DTPのネイティブデータも、PDFも、面付けデータも、RIP済みデータも一元的に管理されます。
再版の仕事なら前回の受注データを呼び出して刷版を出力するだけです。前回と異なる印刷機を使う場合でも、面付けの指示を変えるだけで刷版の出力が可能です。「変更作業もわずか1分ほどで終わる」と階戸係長はその成果に驚いています。実際に使ってみて、ジョブ管理の重要性が理解できました。プリネクトのように様々なデータや作業手順などを、ひとつひとつの仕事ごとに一元的に管理すれば、作業全体がとてもシンプルになります。シンプルであれば、ミスも当然少なくなります」
プリネクトの自動面付け機能を利用し複雑な入れ子面付けもわずか数分で処理
階戸係長は、プリネクトの面付け機能についても次のように評価しています。
「CADデータを活用した自動面付けなら、複雑な入れ子面付けもとても簡単です。今までグラフィックソフトで20〜30分かかっていた仕事が、わずか数分で終わります」
パッケージのブランクスシートをプリネクトで流し込んで自動面付けを行うと、ブランクスとブランクスの間に白い余白が出て、このまま印刷するとゴーストが発生する可能性があります。これまではグラフィックソフトで面付けしていたため、余白をソフト上で埋めることができました。手間と時間はかかりますが、パッケージ印刷では必要不可欠な作業でした。このため、同社ではあらかじめ余白を埋めた四角形のデザインでブランクスシートを作ることで、この問題を解消しました。
「当社の仕事に100%マッチした完璧なシステムなど、世界中どこを探しても存在しません。それでも私たちが選んだシステムを、限りなく100%に近づけて運用することはできます。メーカーだけに頼るのではなく、ユーザー側も様々な面で工夫を凝らしてゆけば、流れにのった作業が必ず実現できます」
ブランクスシートを四角形でデザインするというアイデアも、同社のこうした考えにもとづいています。
新しい戦力を得てビジネスの成功をより確かなものに
サーマルCtPと新しいワークフローの導入によって、同社の競争力は一段と向上しました。外注費の削減はもちろん、印刷品質も向上し、刷り直しの損害も1/3に激減しました。刷版出力の内製化によって納期も大幅に短縮できました。日本のパッケージ業界は世界でもトップクラスの品質が求められます。この厳しい市場で、「ジャパンパッケージング コンペティション(日本印刷産業連合会主催)」や「日本パッケージング コンテスト(日本包装技術協会主催)」で数多くの受賞歴を重ねてきた同社が、さらなる飛躍を遂げることは間違いないでしょう。
【企業プロフィール】
統一印刷株式会社
代表取締役: 雫石 宏親
設立: 昭和26年
従業員数: 55名
本社所在地: 東京都品川区南大井1-2-9
TEL: 03-3763-8631
URL: http://www.toitsu-printing.co.jp/
事業内容: 化粧品、食品、健康食品の個箱・ギフト箱・貼り箱・クリアケース・段ボール箱、説明書・ラベルその他の関連材料、パンフレット・包装紙などの一般商業印刷