おはようございます!
あのアンソニー・サールビーへのオンラインでのスペシャルインタビュー、第3回目をお届けします。申し訳ありません、また、少し遅れてしまいました。今回は、アンソニーが自身の印刷会社経営スタイルについて語っています。
J-Connect編集部(J編):JDPを買収する前と後では、どう変わったかを教えてください?
アンソニー・サールビー(AT):以前は…、見積依頼を受けて、見積書を作成し、ジョブを立ち上げて、社内の各部署で手作業で処理していました。生産前に17のタッチポイントがありました。それは、積極的に営業をかけるビジネスと言うよりは、非常に快適なライフスタイルのビジネスでした。高収入を得るため、また印刷会社がすべきことをするためには十分なことをしていました。私たちにとって、大きな違いは、取引の加速化です。私たちにとって重要なのは常に次の注文のことです。私たちはタッチポイントをすべて取り除きました – デジタル印刷ならタッチポイントはゼロで、オフセット印刷なら1つです。 これにより選択肢が生まれました。スケジューリング次第でスケールメリットが生かせるようになりました。料金を合わせられるようになりました。私たちは再びビジネスをコントロールできるようになったのです。
悪い意味で言っているのではありません。以前は、お客様が会社を運営していました – それは当然です。お客様が会社から商品を買っているのですから。しかし、以前に言ったとおり、私は自分たちが会社を運営するという非常に強い信念を常に持っていました。私にとってそれは、透明性、データ、MI(マネジメントインフォメーション)、リードタイムの短縮、そして目の前にあるすべてのチャンス – それは適切な製品です – を受け入れることを意味します。現在の会社の状態ですが、急成長中というのは非常に痛みを伴います。ほとんどの人は年間10%の成長を目指しますよね。私たちは毎月25~30%の成長を目指し、それを上回っています。しかし、それによるプレッシャーもかかります。私といっしょに長年働いてきてご存じだと思いますが、私は非常に高い期待を持つ人間です。旧体制の経験者の中にはそれを理解するのに少し時間のかかるスタッフもいましたが、いまではメリットを理解しています。私たちはスタッフ全員に報いてきました。成績が上がれば、すべて報酬に還元してきました。英国のほとんどの業界のように、いくばくかの金額を差し引くようなことはしませんでした。私はひたすら将来に目を向けたいと思います。仲間に入ってエンジョイしたい人たちにとっては- 私たちのスタッフたちがそうですが -今や非常に刺激的な職場です。
管理の面で言えば、以前と特に変わりません。データとMI(マネジメントインフォメーション)が会社を動かします。感情を持ち込むことはありません。重要なのは、シンプルにモノクロの数字です。私はこれこそが当社の状況を良くしたと考えています。なぜなら、何を達成すべきか正確にわかりますし以前話したと思いますが、数字は嘘をつかないからです。何でも自分にとって都合良く考えることはできますが数字は常に明快で、私たちは「チープな仕事」でも十分な利益を出す能力があることを示しました。しかし私たちは、まったく異なる市場にいます。私たちの平均注文価格は186ポンド(1ポンド約165円として、30,690円)です。私たちは商取引をしているのです。もちろんもっと大きな仕事もしますが、重要なのは製版の前準備、そして同じ製品を最小限の前準備による後加工で納品することです。
J編:JDPでやっている事は、基本的にESPでやったことと同じですか?
AT:大きな違いは、テクノロジーの進化です。さらに、私は組織であちこち移動して働く中で、より多くの経験を得たと思います。以前は7、8年かかっていたことを3か月で達成しています。経験は、立ち入ってはいけない場所を教えてくれます。経験は、第六感が通常は絶対に正しいことを教えてくれます。ですから直感には従うべきです。しかし私たちの戦略は非常に明確ですし、ハイデルベルグとプリネクトは、私たちが発展する上で素晴らしい仕事をしてくれました。今では製版を自動で行っています。面付けも自動で即座に行い、承認もポータルを通じて自動化しています。今後、数週間以内には、プロファイルの自動ゲーミング に移行する予定です。私としては、思考プロセスに変わりはありません。ただAPIやXMLを使用する能力という点で、現在はさらに進化しています。
J編:なぜ同じ装置、ソフトウェアを使っているのに、それほど高い生産性、短い準備時間、高速での生産が実現できるのでしょうか?
AT:まず、自分の製品の処理行程を理解することです。ジョン・ドリン印刷は – 現在ではJDP社ですが -、他のすべての印刷会社と同じように用紙寸法を1日3回変更していました。まず90 gsm、次に400 gsm、次に130 gsmといった具合です。特色を使い、洗浄もします。
事の是非はともかく、以前の会社の約20件のお客様とは取り引きをやめました。なぜなら、彼らは、支払いも悪く、私が望むような取引ができなかったからです。彼らは、“信頼”について話し出しました。が…
オペレータと、プリネクトアナライズポイントを見て、すべてを15,000枚/時で印刷し、毎回4分で前準備をするということを理解してもらいました。難しいプロセスです。サポートとガイダンス、そして完全な透明性が、常に必要です。私の場合 – それはずっと教育されてきたことですが – 自分の仕事はどうすれば装置を最大限に生かし、最適化できるかを理解することです。また、私は、それができるような仕事を取ってきます。私たちは依然として注文どおりに折り箱を生産し、高品質パッケージと商業印刷をしています。今も対象市場の96~97%に応じています。ハイエンドな高級印刷物を得意とする人たちもいます。素晴らしいことです。問題ありません。しかし、私たちがしているのは製品化したビジネスです。印刷を製品化しているのです。6年間離れていた英国の市場について驚いた事のひとつは、私が言う進化や、製品化によって実際に何ができるかという観点からの本格的な取り組みが見られないことです。雑誌や書籍はそのひとつですが、これらは、非常に成功したビジネスです。しかし、私たちは、一般的な商業印刷市場において、まさにコアな商業印刷を今なお手がけています。PUR製本、中綴じパンフレット、折りの入ったリーフレット。私にとっては、…速度的な側面が、要件を理解しているかどうかになります。私たちが持つ旧型のXL75にはダイナミックシートブレーキがありません。ですから、520、720のコート紙、115 gsm未満の用紙を扱えません。ダイナミックシートブレーキがないからです。つまり、必要なレベルのパフォーマンスができない弱い分野には、その印刷機を使いません。それは間違った運用方法です。その印刷機にぴったりの使い方をするようにします – それが私たちが試みていることです。
つづく
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