前回掲載記事の「その①」では、その無処理版から得られるメリット・デメリットをご紹介させていただきましたが、今回は実際のマーケットにおける評価や課題、メリットを最大化する方法などについて、触れていきたいと思います。
無処理版化後の実際の評価はいかに?
無処理版化によるメリット
現像機、現像液、廃液が不要。また現像機のメンテナンスや電気代もいりません。
また、プレート上の網点管理がほとんど必要なくなり、プレート網点が安定しているために印刷品質も安定します。
無処理版化によるデメリット
- 有処理版に比べ、耐刷性能はほぼ半分以下になる(印刷機の状態や使用する資材にもよりけり)
- 版面が見づらい為、検版はほぼ不能
- 無処理版化にあたり、CtPやワークフローの調整が必要
- 有処理版に比べ、プレート一枚当たりの単価が若干上がる、また印刷機のメンテナンス状況によってはトラブルが出る場合がある(ただし、しっかりとメンテナンスを行えば、ほとんどのトラブルは解消します)
上記のメリット・デメリットをご覧いただくと、耐刷と検版性を無視すれば、ほぼメリットしかありません。実際、無処理版化したお客様の満足度は非常に高く、有処理版に戻したケースは私たちの知る限りありません。
その耐刷も自社の平均印刷ロットが5万枚以下であれば、十分に対応可能です(もちろん使用されている環境によって異なります)。また検版性もプリプレス側のチェックシステムが向上している事で、検版という作業自体が形骸化している印刷会社も多く、実際は印刷の刷り出しで確認すれば十分という所も増えています。
私たちが販売させて頂いているお客様で、無処理版に切り替えて頂いたお客様は本当に喜んでいます。特に、現像機の電気代は意外と大きなコスト削減効果があり、嬉しい誤算と言われる事も多いです。
なぜ、全ての印刷会社が無処理版化しないのか?
それは、まず無処理版化する事で、印刷に不具合が起こるのではないか?という不安・不信がまだ根強い事があります。確かに、出始めの頃の無処理版は問題が多く、トラブルも多々見られました。
ですが、ここ2~3年での無処理版の性能向上は目覚ましく、きちんと通常のメンテナンスがされている印刷機であれば、有処理版のセッティングのままで無処理版を印刷しても問題無いケースがほとんどです。
そのため、一度でも印刷テストをして頂ければ、無処理版化しても問題ない事を確信して頂けると思います。
無処理版への切り替えに向けた一番の大きな障壁とは?
それは、印刷機のオペレータにメリットがほとんどない事です。
印刷機のオペレータからすると、視認性が悪いのでプレートの掛け間違いの懸念があり、また耐刷が悪くなるため印刷品質に懸念を持たれます。印刷会社において、印刷機のオペレータが無処理版化に不満を持っているとその声は無視出来ない所が多いと思います。
そのため、無処理版のテストをして頂いて、印刷結果に問題が無かったにも関わらず、無処理版の切り替えに踏み切れない印刷会社が多々ありました。
無処理版化のメリットを享受するには
上記の様にプレート性能は問題ありません。また、仮に印刷テスト等で問題があったとしても、プレートメーカー、もしくは私たちハイデルベルグが問題解決の為のノウハウをすでに持っています。
後は、印刷オペレータの不安を取り除く事や、会社全体としてのメリットをしっかりと認識・理解をしていただく事が重要です。
今や印刷会社で出来るコスト削減手段は限られて来ており、無処理版化はそのもっとも現実的で効果が出やすい手段であると思います。
たしかに今までと違う事を行うのは不安になるかもしれません。それでも無処理版化された印刷会社は、自社の生き残りを掛けて無処理版化されてきました。
今回の記事を読んでいただき、もし無処理版化に興味を持たれた場合は、不安を少しでも拭う為にも、ぜひハイデルベルグにお声掛け下さい。私たちのノウハウから、最適なご提案をさせて頂きます。
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