おはようございます!
前回に引き続き、“今日も下版はできません!” 作者 奈良裕己さんのインタビューVol 2. です。どうぞ!
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J-Connect 編集部(J編):そして、印刷会社に入社された……
奈良さん (以下敬称略):はい、そして入ったらとんでもなくキツかった(笑)。何が一番キツかったかというと、僕は営業だったので、自分が悪くないのに謝まらなければならなかったり、トラブル処理、事故報告、対策書等々、本当にすり減りましたね….当時は。でも、その時の苦労が今生きているんですよね。その時トラブったり、お客様に怒鳴られたりした話が今となっては、とてもおもしろい漫画のネタになったりしてるんです。それから、トラブった時こそ現場の人たちと仲良くなれるんですよね。時には徹夜をしながらも蜜にコミュニケーションをとって一緒に問題にあたりました。そういう人たちとは今でも仲良くお付き合いをさせて頂いています。でも、当時はキツかったなぁ!
J編:印刷会社の営業さんとして大変だったのが伝わってきました。逆に嬉しかったことはありますか?
奈良:現場の人には随分可愛がってもらいました。そういう現場の人たちと仲良くなって、色の厳しいカタログやポスターなどの仕事をしたとき、いっしょに徹夜してでもいいものを作り上げ、納品したものがお客様に褒められる。先ほど、自分が悪くないのに怒られるという話をしましたが、お客様に褒められるのも営業だけなんですね。だから、お客様が “ばっちりだ!” とかおっしゃて褒められたことを現場とシェアして、いっしょに喜びあえた時は最高に嬉しい瞬間でしたね。
J編:当時の経験が漫画のネタになっているとのことですが…..
奈良:もちろん当時の経験は最大限使っています。が、それ以外の部分では、当時の同僚や先輩、また現場の人と今でも食事しながらさりげなく話を聞いて情報収集をしています。もちろん細かいこと、具体的な会社名などは聞けませんが、おおまかな話をもとに漫画にしています。ですから、僕の漫画は全くのフィクションではありません。実際に起こり得る話をもとにしてるんです。
J編:実際に起こり得る話をもとにというと、ファンとして気になるのはキャラクターですが、皆さん実際にモデルの方がいらっしゃるんですか?
奈良:そうですね。例えば、交差法を使う“墨賀さん”は、実際に交差法を使う全くあの容姿とおりのモデルの方がいらっしゃいます。主人公の”刷元さん”は、モデルがいるわけではなく、僕自身がもっている印刷会社の営業さんのイメージです。僕もそうだったのですが、目の下にクマができてて寝ぐせがあり、ちょっと猫背で、印刷が大好き。嫌だ嫌だと言いつつも、レストランとかに行くとメニュー見ながらつい“この紙は….”とか言っちゃうくらい印刷が好きなんです。あの”赤羽さん”は、いろんな工場の怖かった現場の人たちを合体した感じですね。新人の”真紫君”は、ひょうひょうとして起用だけど内には熱いものがある今時の若者という僕のイメージです。”黄瀬部長”は、残業するな!早く帰れ!と働き方改革を進めながらも、一方的に仕事を押し付けてくる、どこかにいそうな部長のイメージです。
J編:今ももちろん印刷業界には深くかかわっていらっしゃると思いますが、印刷会社に勤めていた時に比較すれば距離を置かれていると思うのですが、今の印刷業界をどう見ていらっしゃいますか?
奈良:正直、最近はいいニュースはあまり見ないので元気ないのかなぁと思っていたのですが、先日page2020に行ったら3年連続来場者数が増えていることを聞きました。実際、僕が行った時も、ハイデルさんのブースもそうでしたが、会場全体がすごい賑わいでしたね。また、AIやロボットが入ってきたりとか、ハイデルさんがやっているサブスクリプションビジネスモデルを含めいろいろ新しい話も出てますよね。紙媒体自体は減っているかもしれないのですが、紙媒体を創るという面ではとても進化しているので、まだまだ楽しみな部分があるのではないかなぁと思い始めています。僕にできることは漫画を描くことなので、せっかく印刷会社を舞台にした漫画を描いていることですし、業界をもっと面白く元気にできる手伝いができたらなぁと思っています。正直、連載を始めたころは、印刷会社の人たちって面白いよね、トラブった時の話は面白いよねということばかりで、あまり深くは考えていなかったのですが、今業界全体でご支援を頂いて、こういう形でいろんな業界の方とお話したりすると、本当に印刷業界全体が盛り上がったらいいなと今は思っています。
J編:そうですね。これからもいっしょに印刷業界盛り上げていきましょう!これからも楽しい ”あるある” 漫画をよろしくお願いします。今日はありがとうございました!
おしまい