印刷製版技術の礎を築いた老舗企業
古都京都に本社を構える株式会社写真化学は、明治初年の創業以来、印刷事業を核に、高度な画像処理技術と最先端のエレクトロニクス技術を応用して多角的な事業展開を続けてきました。現在は「伝統的に革新的」を企業スローガンに、印刷を中心とした販売促進事業の他、各種製造機器・システム開発事業、感染対策機器の輸入販売事業などを手がけています。
京都、大阪、名古屋、東京に営業拠点を構え、名古屋以外の3 拠点には充実したクリエイティブ部門を抱えて、印刷だけでなく、映像やイベントまで含むメディアミックスによるソリューション提案型の営業を展開。顧客の幅広いニーズに応えています。
スタッフの多能工化を進めて生産効率を向上
同社の生産拠点は滋賀県草津市にある草津事業所です。同事業所では、2016 年11 月に導入した最新鋭機、スピードマスターCD102-4 LE UV を筆頭に、ハイデルベルグの菊全判クラスの片面印刷機(XL105-5、CD102-4)を合計3 台保有しています。スタッフはプリプレス、プレス合計で約20 名。業務部門を含めてもわずか27 名です。
ここ5 年間、仕事量に変化はありませんが、スタッフは3 割減りました。主にプリプレスの自動化によるものですが、それだけではありません。印刷の標準化や多能工化など業務を改善することで、結果としてスタッフの負担を軽減しながら、効率化を実現してきました。
製造統括本部長の西村良和氏は、「手待ち時間がなくなり、残業時間も減っている」と多能工化の成果を次のように話しています。
一般商印からパッケージ/ラベル印刷まであらゆるジョブに対応
スピードマスターCD102-4 LE UV
- スピードマスターCD102 は、50,000 ユニット以上の納入実績を持つ世界で最も売れている印刷機。
- ハイデルベルグの最上位機種XL シリーズの技術を継承。
- プリセットプラスフィーダ/デリバリ、オートプレート、自動洗浄装置など豊富な自動化装置を搭載し、すぐれた操作性と作業性を実現。
- 毎時15,000 枚の最高印刷速度でも、薄紙から厚紙まで安定した用紙搬送で、トップクラスの印刷品質を達成。
- 分光光度計を内蔵したカラー測定システム「プリネクトイメージコントロール」がスピーディな色合わせをサポート。
- デリバリ部の200W ランプ1 灯で硬化可能な省エネUV 印刷機。
「印刷会社の仕事は波があって、どうしても手待ち時間が発生します。これをなくそうと多能工化を進めてきました。当社の印刷オペレータはすべての印刷機を区別なく操作でき、必要に応じてプレートを出力することもできます。製版スタッフのなかには印刷機を扱える者もいます。
スタッフ全員が臨機応変に密度濃く作業するので、仕事が集中しても問題なく対応できています。残業時間も月平均11 時間ほどに減り、働き方改革にもつながっています」
印刷品質の標準化にメンテナンスフリーのインキつぼとイメージコントロールが貢献
印刷機を区別なく操作するためには、印刷品質の標準化が欠かせません。同社では10 年以上前から、一貫したカラーマネジメント環境の構築を積極的に進めてきました。その一方、機械の保守・点検を徹底することで印刷品質を安定化。今ではまるでプリンター感覚のようにオフセット印刷機を運用しています。
ハイデルベルグの技術も品質の向上と安定化に貢献してきました。そのひとつがハイデルベルグ独自のインキつぼです。インキつぼ流量ピンがインキ流量を500 ステップで、隣接するインキゾーンに影響することなく正確に駆動しています。また、インキつぼフォイルを使用することでゼロ点に狂いがなく調整が一切不要なため、長年にわたって印刷品質が安定します。また西村本部長はプリネクトイメージコントロールについても「なかったら仕事にならない」と高く評価しています。
「イメージコントロールで測定して問題がなければ、そのまま本刷りです。10 年前の印刷機でも、最新モデルでも、ハイデルベルグ機の印刷プロセスは非常に安定しているので、抜き取りチェックの必要もありません」
プリネクトイメージコントロールは、分光測色技術を採用したカラー測定システムです。用紙の絵柄全体を読み取って補正値を算出しインキつぼを自動的に制御します。これにより色変動の少ない忠実な色再現が実現できます。
このイメージコントロールに絶大な信頼を置く同社では、版交換を含めて通常わずか10 分ほどの前準備時間で本刷りをスタートさせています。それはリピートジョブでも、新版でも変わりはありません。
キズがつかないエアによる用紙搬送技術がもうひとつの決め手
2016 年11 月に導入したスピードマスターCD102-4 LE UV は、同社にとって3 台目となる片面印刷機です。8 色両面兼用機の更新機として選ばれましたが、その理由を西村本部長は、10 年前に導入したCD102 のすぐれた用紙搬送技術にあったと断言します。
薄紙から厚紙までのあらゆる用紙はシートガイドプレートの内側につくられたエアクッションによって無接触で、しかもバタツキもなく搬送されるため、インキ移り防止用のネットやシートを使用する必要がありません。キズを付けることなく、スムーズに次の印刷ユニットへと搬送するCD102の卓越した用紙搬送技術に惚れ込んで、今回もCD102 の導入を決断しました。
ただワンパスの生産性に劣ることのないよう、全印刷機で紙サイズを統一したどん天印刷を採用。サイズ替えの手間や時間を削減して生産効率を飛躍的に高めると同時に、刷版コスト・用紙コストの削減にも成功しました。刷版の削減効果は月平均で約700 版にも上ります。またUV 印刷機能によって、乾燥待ち時間なしで裏面印刷に取りかかることも可能になりました。パウダーなしでキズやヨゴレの心配がなく、加工適性にもすぐれているため、後加工による品質トラブルも激減しました。
スピードマスターCD102-4 LE UV は、同社にとって初めてのUV 印刷機です。印刷チームリーダー補佐の北原順平氏は「はじめてで不安も多かった」と振り返りますが、今では「全部をUV印刷機にして欲しい」と話しています。カラーマネジメント環境も完璧で、オペレータの誰もがUV 印刷機と油性印刷機を区別なく動かしています。
印刷現場のノウハウを共有して顧客満足度を向上
同社の工場には生産効率を高める工夫とアイデアが随所に見られます。「ドライダウンを前提としたカラーマネジメント」「用紙反転時の紙積みのノウハウ」はもちろん、印刷経験者を工務に配置するのもそのひとつです。
印刷の知識があれば、用紙の種類や色数、絵柄などを考慮して、最も刷りやすい、前準備に手間取らない印刷順序を決められるので、工場全体での生産性が格段に向上します。さらに営業部門に印刷経験者を置くことで、最適な技術提案、顧客との信頼関係強化も容易になります。
実際、画像修正が多い仕事では、修正を前提とした撮影ノウハウを顧客に教えるなどして、修正の手間とコストを軽減。これによって校正回数も削減でき、顧客からの信頼も獲得できたそうです。こうした取り組みを進めることで「困ったときは写真化学に」という顧客が増えてきているそうです。
株式会社写真化学
本社
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