2011年にIndustry4.0がドイツで提唱されて以来、世界のあらゆるモノとコトがネットで結ばれるようになり、全ての産業でビックデータに基づく新しいビジネスが胎動してきています。
21世紀を迎えてからの20年弱の間に起きたことは、その前の50年間に起きたことをはるかに凌ぐ変化を世界にもたらしました。さらに変革のスピードは加速し、今後2年間で起こりうる変化は、間違いなく過去20年のそれを超えるに違いありません。
こうした中で、伝統的な製造業及びサービス業である印刷業も、今やその変化を積極的にとらえて成長することが不可欠です。
昨今、日本においても「生産性革命」「働き方革命」に注目が集まっています。日本における生産性はOECD加盟国の中でも20位以下とされ、かねてから生産性の向上、製造業における設備更新が必要だと言われてきました。
その上、少子高齢化に伴い、将来の恒常的労働人口の不足が拍車をかける形で、これまで戦後の日本の高度成長をささえてきた仕組みそのものにメスが入れられようとしています。
これはとりもなおさず、第四次産業革命、あるいはIoTが掲げる、全てをネットワークでつなげ、ビッグデータの活用を通じて、生産性の劇的な向上を図るほかには道はないことを示しています。
ハイデルベルグは、「Heidelberg goes Digital」というスローガンのもと、製品はもちろん、仕事のプロセスや組織の在り方、またコミュニケーションの手段に至るまで、全てをデジタル化し、膨大なデータと市場における積年の豊富な経験を組み合わせて、お客様へ最適なソリューションを提供いたします。
わたくしどものデジタル化は、お客様のデジタル化をサポートすることにつながり、ひいては印刷ビジネスの新たな次元への進化を導いていく、それがハイデルベルグ・ジャパンのミッションです。その第一歩が、スマートファクトリーの実現です。
スマートファクトリー実現に向けて、ハイデルベルグが開発したのが「Push to Stop」という考え方です。
ハイデルベルグオフセット印刷機、デジタル印刷機、プロダクションワークフローをベースに、システムが最適化した仕事のやり方で業務を行います。必要な印刷必需品(材料)や適時かつ適切なサービスも含め、ハイデルベルグ製品が最高のパフォーマンスを発揮することで、お客様である印刷会社の収益を向上させる仕組みです。
例えば、従来、印刷工程では仕事の切り替えごとにオペレータが印刷開始を指示します。 これをPush to Startと呼びます。
一方、Push to Stop では、登録された仕事に合わせてシステムが自動的に連続運転を行います。オペレータは何らかの問題が起きたときにのみ、機械をストップさせるだけです。
そして今年、満を持してB1インクジェット印刷機「Primefire 106」の導入が日本でも開始されます。drupa2016の話題をさらったPrimefire 106は、これまでのインクジェット印刷機を越え、品質、コスト、スピードで業界の新たなスタンダードとなるでしょう。
ハイデルベルグ社は新製品を市場投入するにあたっては、元来、本格的な生産が出来るものだけを納入してきました。もちろん、Primefire 106においてもこのポリシーは変わりません。お客様にお約束した性能を毎日の本生産で活かせる生産機として順次納入してまいります。どうぞご期待ください。
レベル3の自動運転機能を有するオフセット印刷機「スピードマスターシリーズ」、あらゆる柔軟性と本格生産を可能にし、堅牢性を兼ね備えたデジタル印刷機「ファイアシリーズ」、それらを束ねデータの全てを管理するプロダクションワークフロー「プリネクト」、さらにはそうした装置群を支える印刷必需品「サフィラ」、予防保全から予知保全へと新たなサービスを展開する「システムサービス」が、印刷現場における「生産性革命」を実現してまいります。
第四次産業革命が進む中、これらの製品とサービスによって、ハイデルベルグは印刷業のデジタル化を強力にサポートいたします。
ハイデルベルグが日本に上陸してから92年、そして、来年2019年、ハイデルベルグ・ジャパンは設立20周年を迎えます。
長きにわたるお客様のご愛顧に改めて感謝申し上げますと共に、今後とも尚一層のご指導ご鞭撻をよろしくお願い申し上げます。
ハイデルベルグ・ジャパン株式会社
代表取締役社長 水野秀也