米国ニューヨークに本社を構えるマルチ・パッケージング・ソリューション社(以下MPS社)は、化粧品、パーソナルケア、医薬品、日用品などのブランドに特化した国際的なパッケージ製造会社で、世界14カ国に9,000人以上の従業員を擁しています。
同社では現在、売上拡大と顧客への付加価値提供を目指して、デジタルパッケージ印刷の拡充を計画しています。この計画の一環として、ハイデルベルグのデジタル印刷機、プライムファイア106を導入し、2017年1月から同社のドイツ・オーバーズルム(Obersulm)工場で試験運転をスタートさせました。プライムファイア106は、ハイデルベルグ社(本社:ドイツ、ハイデルベルク市)と富士フイルム社が共同開発した次世代インクジェットデジタル印刷機で、デジタル印刷業界では世界初となるB1用紙サイズに対応しています。MPS社オーバーズルム工場の取締役で、美容・パーソナルケア製品の総括責任者であるシュテファン・シュニッツァー氏は、導入の目的について次のように説明しています。
ビジネスの可能性を広げる、プライムファイア106
プライムファイア106は、ハイデルベルグ社(本社:ドイツ、ハイデルベルク市)と富士フイルム社が共同開発した次世代インクジェットデジタル印刷機で、デジタル印刷業界では世界初となるB1用紙サイズに対応しています。MPS社オーバーズルム工場の取締役で、美容・パーソナルケア製品の総括責任者であるシュテファン・シュニッツァー氏は、導入の目的について次のように説明しています。
「当社のお客様には、消費財や化粧品業界で活躍する数多くの有名ブランド企業が名を連ねています。これらの市場では、ブランドや製品デザインを頻繁かつクリエイティブに変えてゆくことで売上向上を図っています。当社でもバリアブル印刷・パーソナル印刷が可能な、高品質で柔軟性に富んだパッケージソリューションを顧客に提供できれば、顧客のビジネスの可能性を広げて、競合他社との差別化にも貢献できます。そのために当社の既存ワークフローに統合できる、ハイデルベルグ社のプライムファイア106のような信頼性の高いデジタル印刷機が必要でした」
システムの品質、信頼性とハイデルベルグ社のサービス体制が導入決断の決め手
drupa2016での初公開以降、ハイデルベルグ社ではプライムファイア106の製品開発を加速させて、品質と信頼性を飛躍的に高めてきました。こうしたプライムファイア106の高い品質と信頼性、そしてハイデルベルグ社との長年にわたる友好関係が、システム導入の決め手になったとMPS社オーバーズルム工場のゲーツ・シューマン取締役は語っています。
「当社のビジネスモデルはエラーゼロ、高品質、安定供給、納期厳守を基本としています。オフセット印刷の分野では、長年、信頼できるパートナーとしてハイデルベルグ社と仕事をしてきましたが、同社の品質とサービスは際立っていました。このため、今回の導入も正しい選択だったと確信しています。またプライムファイア106の市場参入において、当社がアーリーアダプターであることをうれしく思っています」
富士フイルム社の先進的なインクジェット技術とハイデルベルグ社の枚葉オフセット印刷機の最高技術を融合して誕生したプライムファイア106は、デジタル印刷ならではのメリットを持ちながら、信頼性の高いオフセット印刷と同等の品質を提供するものです。
成長分野で新しい協業ビジネスを積極的に推進
両社は、相互に補完し合う専門的な知識とノウハウを持っています。富士フイルムは、卓越したインクジェット技術とシステム開発能力を有し、ハイデルベルグ社は、機器システムの設計・製造、ワークフロー、ソフトウェアの分野で業界をリードしています。
そして今回、両社の強い協力関係によって、わずか2年足らずで「プライムファイア106」という革新的な製品を生み出すことに成功しました。
富士フイルムにとって今回の成功は、実績あるインクジェット技術を通じ、今後も革新を続けることへの強い決意を示すもので、将来の戦略の方向を定める上でも重要な要素です。
富士フイルムは今回のdrupaで、独自の「インクジェットヘッド」「インク」「画像処理」の最先端技術を組み合わせた高品質・高信頼のインクジェット技術を『FUJIFILM Inkjet Technology』としてブランドキャンペーンを強く打ち出し、その応用範囲を工業生産分野にも拡大して、製品の高品質化や生産工程の改善・省力化を目指します。
ハイデルベルグ社にとって今回の成功は、新しいブランドメッセージである「Simply Smart(シンプリースマート)」を具体化した好例だと、リンツバッハCEOは次のように述べています。
「当社のお客様は、新しいビジネスモデルを構築する、新しいインクジェット印刷機の誕生を待ち望んでいました。オフセット印刷に匹敵する安定性と信頼性、そして高品質を実現し、新しい印刷アプリケーションにも対応したプライムファイア106は、こうしたお客様の期待に応えるものです。
ハイデルベルグ社にとって、今回の協業は『シンプリースマート』を表現する好例となりました。プライムファイア106の成功はハイデルベルグ社の新しいデジタル戦略を強く牽引するものです」
ハイデルベルグ社は「シンプリースマート」をモットーに、drupa2016で印刷業界にとどまらず、製造業全体のデジタル化にフォーカスして、幅広い製品とソリューションを展示します。
印刷業界を取りまく環境が急速に変化する中で、印刷現場は常に効率化が求められ、しかもお客様からのさまざまな要求に迅速に、また柔軟に対応しなければなりません。印刷工程のデジタル化は、印刷会社だけにとどまることなく、その範囲をプリントバイヤーまで広げることがますます重要になってきました。
プライムファイア106の市場導入を契機に、両社は新しいビジネス協業の機会を今後も積極的に推進していきます。
数多くのパッケージ印刷会社がプライムファイアによるパッケージ印刷を、新しいビジネスモデルとして注目
2月初旬の「ハイデルベルグInfo day」には、パッケージ製造会社や商業印刷会社など40社以上の欧米企業が参加し、プライムファイア106の独創的な技術、新しいビジネスモデルとアプリケーションによって生み出される利益拡大の可能性について、強い関心が集まりました。またプライムファイア106を導入した最初のユーザーとして、MPS社が世界に紹介されました。
本イベントではプライムファイア106の印刷実演から、富士フイルム社によるインクジェット技術の詳しい解説、既存ワークフローとのスムーズな接続を可能にしたプリネクトデジタルフロントエンドのデモなど、世界初のB1デジタル印刷機のすべてを紹介する様々なプレゼンやワークショップが一日開催されました。