おはようございます!
昨年、 “まだお金をジャブジャブ捨てますか?”という刺激的なタイトルのセミナーを、あのアンソニー・サールビーが 、日本各地のHDF21会員の皆様を対象に実施しました。今日は、その時、アンソニーといっしょに全国を回り(一部アンソニーはビデオのみ)、第2部として“儲かるメンテナンス”というセミナーを行ったハイデルベルグ・ジャパンライフサイクルソリューションズ プリネクト担当の田中氏に話を聞いてみたいと思います。
J-Connect 編集部(J編):昨年はアンソニーと共に、東京、大阪、名古屋、金沢、高松、札幌、仙台、広島、福岡を回って一緒にセミナーを行いましたが、いかがでしたか?
田中:はい、2か月かけて9か所でセミナーをやりました。どこにいっても多くのHDF21会員の皆様にお集まり頂き、Push to Stop の生みの親であるアンソニーの話、そしてメンテナンスに対する関心の高さに驚きました。また、私自身も直接アンソニーの話を聞いたのは初めてだったので、大変勉強になりました。なぜなら、日本の印刷業界では、少なくとも私が知っている限り、今まで誰も考えていなかったような様々な斬新なアイデアを聞かせてもらったからです。
J編:ハイデルベルグ社に勤める前、アンソニーは実際にESPというイギリスの印刷会社の経営をしていました。8色両面機が初めて世に紹介された際、周辺の大手競争会社がこれを導入し市場から締め出されてしまうのではないかと危機感をもった彼は、OEE70%を超える驚異的な数字を叩きだし会社をV字回復をさせました。今回のセミナーは、“まだお金をジャブジャブ捨てますか?”という刺激的なタイトルがついていますが、その話のポイントは、”ESP社で実現した生産性の劇的向上を、どのようにして行なったのか” だったと思うのですが。
田中:はい、その通りです。ハイデルベルグ・ジャパンのfacebookに日本語に翻訳されたビデオがアップされていますので、もしセミナーに参加できなかった方はそちらを参考にされるといいと思います。また、ハイデルフォーラム21の会員の方でしたら、私のセミナー内容も含めてHDF21会員誌Going 68でカバーされていますのでご一読頂ければと思います。彼のキーメッセージは、印刷会社も“時間を売るべきだ”ということだったと思います。彼は、秒単位で会社の生産性を上げることを目指して、現場とともにその方法を考え、実践、成功しました。セミナーでは、彼が何をしたのか、ヒントが散りばめられていたと思います。
J編:ただ、日本ではなかなかアンソニーが実行していたような、また、現在アンソニーがコンサルをしているセミナーで紹介された海外の会社が実現しているようなPush to Stopはできていないようですが、何が問題なのでしょうか?
田中:私は主に理由は3つあると思います。
一つ目は、仕事のスケジューリング、つまり仕事予定組です。アンソニーは、仕事のスケジューリングの優先順位は、①用紙サイズ、②用紙重量、③インキカバレージ、④折りのタイプ、⑤納期、にすべきと言っています。が、実際に多くの日本のお客様の現場を見てみると、ほとんどのお客様は納期優先でスケジュールを決定し生産しているというのが現実だと思います。それによって生産性の効率が下がってしまうのは言うまでもありません。
2つ目が、用紙のカウンターセットをしないという点ではないかと思います。昨年の用紙代の高騰、用紙自体の入手困難ということで、今はかなりシビアになったとは思いますが、それでもほとんどの印刷会社の現場では、用紙のカウンターをセットすることなく、必要以上にあるだけの予備紙すべてを印刷しているのが現実ではないでしょうか?カウンターセットをしていなければ、せっかく自動で仕事替えができる機能があっても、機械はいつ仕事が終わるのかわかりませんから自動で仕事を切り替えることはできません。
そして3つ目が色の判断が属人的であるということ。つまり、確認するのは管理者だったりベテランだったり、要するに人の判断に委ねられているということです。数値で判断できれば、機械が自動的に本刷りを始めることができるのですが。
J編:それらの問題を日本の印刷会社が乗り越えていく何か解決する方法はあるのでしょうか?
田中:すべてを一度に変えるというのは難しいかもしれません。が、少しづつできるところから変えていくことが大切なのではないかと思います。いろいろなお客様を訪問する機会がありますが、ほとんどのお客様が、すべての仕事が同じように納期がなかったり、大量の予備紙が必要だったり、お客様が色に極端に厳しかったりするわけではないと思います。実際にその方法で成功したアンソニーの考え方を、せっかく知ることができたのですから、試してみない手はないと思います。弊社の社長もよく言いますが、新しい事を失敗する前にできないと言っていたのでは前に進めないですからね。また、ハイデルベルグでは、そうした取り組みをしようとしているお客様を是非サポートしたいと思っています。
J編:そうですね。一日も早くアンソニーに数字を挙げて紹介されるような会社さんが日本からも出て欲しいですね。ちなみに、最近アンソニーのLinked In(SNS)のポストで見ましたが、セミナーでも紹介されていたイギリスのElle media という印刷会社は、スピードマスターXL106で、1週間に165万通し、平均仕事替え時間2分54秒、ヤレ2%等を達成しているそうです。今日はありがとうございました。
J編:ただ、日本ではなかなかアンソニーが実行していたような、また、現在アンソニーがコンサルをしているセミナーで紹介された海外の会社が実現しているようなPush to Stopはできていないようですが、何が問題なのでしょうか?
田中:私は主に理由は3つあると思います。
一つ目は、仕事のスケジューリング、つまり仕事の予定組みです。アンソニーは、仕事のスケジューリングの優先順位は、①用紙サイズ、②用紙重量、③インキカバレッジ、④折りのタイプ、⑤納期、にすべきと言っています。が、実際に多くの日本のお客様の現場を見てみると、ほとんどのお客様は納期優先でスケジュールを決定し生産しているというのが現実だと思います。そうすると仕事替えの際に無駄な機械の調整が増え、生産性の効率が下がってしまいます。
二つ目が、用紙の減算カウンターセットをしないという点ではないかと思います。昨年の用紙代の高騰、用紙自体の入手困難ということで、今はかなりシビアになったとは思いますが、それでもほとんどの印刷会社の現場では、用紙の減算カウンターをセットすることなく、必要以上にあるだけの予備紙すべてを印刷しているのが現実ではないでしょうか?減算カウンターセットをしていなければ、せっかく自動で仕事替えができる機能があっても、機械はいつ仕事が終わるのかわかりませんから自動で仕事を切り替えることはできません。
そして三つ目が、色の判断が属人的であるということ。つまり、確認するのは管理者だったりベテランだったり、要するに人の判断に委ねられているということです。数値で判断できれば、機械が自動的に本刷りを始めることができるのですが。
J編:それらの問題を日本の印刷会社が乗り越えていく何か解決する方法はあるのでしょうか?
田中:すべてを一度に変えるというのは難しいかもしれません。が、少しづつできるところから変えていくことが大切なのではないかと思います。いろいろなお客様を訪問する機会がありますが、ほとんどのお客様が、すべての仕事が同じように納期がなかったり、大量の予備紙が必要だったり、お客様が色に極端に厳しかったりするわけではないと思います。実際にその方法で成功したアンソニーの考え方を、せっかく知る機会があったのですから、試してみない手はないと思います。弊社の社長もよく言いますが、新しい事を失敗する前に、”できない”と言っていたのでは前に進めないですからね。また、ハイデルベルグでは、そうした取り組みをしようとしているお客様を是非サポートしたいと思っています。
J編:そうですね。一日も早くアンソニーに数字を挙げて紹介されるようなお客様様が日本からも出て欲しいですね。ちなみに、最近アンソニーのLinked In(SNS)の投稿で見ましたが、セミナーでも紹介されていたイギリスのElle media という印刷会社は、スピードマスターXL106で、1週間に165万通し、平均仕事替え時間2分54秒、ヤレ2%等を達成しているそうです。今日はありがとうございました。