おはようございます!
コロナ禍が引き金となり、世の中が劇的に変貌しつつある昨今、印刷業界に於ける機器への投資はどのような潮流にあるのか、ハイデルベルグ・ジャパンの製品担当部署である、エクイップメントソリューションズ本部の曽篠に話を聞きました。今日から、何と!、4回に分けてたっぷりお届けします!
J-connect編集部(J編):先行きが不透明な状況で、多くのお客様は大型の投資は控える方向にあるのではないでしょうか?
曽篠:そうですね、今は投資の時期ではないとお考えのお客様も多数いらっしゃいます。一方で、世の中の変化から必要に迫られて新しいシステムを導入される事例や、更にアグレッシブに、このような時期だからこそ変革のチャンスと捉えて、アクションやチャレンジのご相談を頂くケースも少なくありません。
J編:例えばどの様な事例が挙げられますか?
曽篠:OEEを指標に生産性を改善し続け、常にリーディングカンパニーであり続けるお客様の事例があります。このお客様は、2018年にスピードマスターXL 106-8-Pを導入し、OEE37.7%という驚異的な生産性を実現しました。更に今年に入ってから2020ジェネレーションのスピードマスターXL 106-8-Pを導入されました。これ自体も、もちろん比較対象がないくらい素晴らしい事例なのですが、製品担当としては、更に遡ったストーリーが興味深いと感じています。例えば、2台の最新鋭機導入だけではなく、僅か数年しか使用されていない菊全8色両面兼用機をリプレイスされた(入れ替えた)点が挙げられます。実はこの8色機も、一般的な印刷機と比較すると高いOEEを達成していました。僅か数年前に導入した、まして高い生産性を実現している印刷機を出すことは、日本では通常考えられません。しかし、2018年のXL 106-8-P導入から、OEEを指標として生産性改善に取り組まれた結果、そのような結論に至られました。
製品担当の視点では、リプレイスした8色機と、2018年納入のXL 106-8-Pとの最も大きな違いは、Push to Stopコンセプトと言えます。drupa 2016からハイデルベルグが標榜しているオペレーションコンセプトで、印刷機に於けるインダストリー4.0や、第四次産業革命と例えられます。更に言えば、このお客様は、2018年納入のXL 106-8-Pからビルトインタイプの品質管理装置を選択されました。ハイデルベルグは世界で唯一、濃度ではなく色を直接コントロールする技術に特許を取得していますので、オペレータによる抜き取り不要、印刷機が見当と色を合わせます。追って触れますが、生産性の向上だけではなく、品質をシステムで担保するというパラダイムシフトが挙げられます。更にPush to Stopコンセプトとの組み合わせにより、印刷機が自身の現状と次のジョブへの切り替えに必要な作業を認識し、ジョブチェンジプログラムを自動で生成・実行します。これもハイデルベルグの特許技術です。つまり、ジョブチェンジから見当・色合わせ、品質の担保、必要枚数の生産、ジョブチェンジまで、オペレータによる判断や操作を極限まで削減されました。
このお客様は、これら最先端の技術を導入し、OEEの改善に取り組まれた結果、先に述べたように37.7%ものOEEを達成されました。世界でも27%、日本では16.8%が平均的なOEEと言われる中で、更にこのお客様が求められる印刷物の品質レベルを考えると、まさに驚異的と言えるでしょう。繰り返しますが、リプレイスされた8色機も高い生産性を実現していました。しかし、それに満足することなく常に前へ前へと前進する点がこのお客様の特徴と言えます。更に、今年2月のXL 106-8-P 2020ジェネレーションの導入です。drupa 2020は残念ながらキャンセルとなりましたが、ハイデルベルグは、格段に進化したPush to Stopを準備していました。このお客様も、既にその真価を感じて頂けていると確信しています。
従来から、最先端の印刷会社が、drupaで革新的な技術が発表される都度、つまり4年に一度のペースで印刷機を入れ替える例は、世界的には少なくありませんでした。しかし、日本でもついにこのようなお客様が現れたのです。繰り返しになりますが、このお客様が飛びぬけているのは、前へと進む歩みを止めない事です。目標を掲げ、合理的な分析・改善を繰り返すことでしか到達し得ない生産性は、他社が簡単に模倣することは難しいでしょう。
ということで、今回は、大型機器の事例を挙げてお話をしましたが、投資は高額でなければ意味がないのでしょうか?次回は、今回とは異なる事例を取り上げたいと思います。
J編:ありがとうございました。それでは、次回はまた別の角度から”機器の投資”について聞かせてください。
日本全国を駆け回り、さまざまなお客様の話を伺ってこその視点で語る製品担当の”機器投資のトレンド”の話、次回もお楽しみに!ご質問等ありましたら、お気軽に、弊社営業またはエクイップメントソリューションズ本部までお問合せ下さい。
スピードマスター2020ジェネレーションについてはこちらから。