おはようございます! 今日から3回に渡り毎週水曜日、今年1月18日にオンラインで開催された記者発表会における株式会社共進ペイパー&パッケージ様の代表取締役副社長鍛治川和広様の全スピーチを、鍛治川様のご承認を得まして、3回シリーズにて、ご紹介させて頂きます。シリーズのタイトルは、鍛治川様がスピーチの中でオフセット印刷の革新を表現された「オフセット印刷の逆襲」とさせて頂きました。具体的な数字を挙げての貴重なスピーチです。パッケージ印刷のお客様に限らず、印刷会社経営者の皆様、是非ご参考にされてはいかがでしょうか?それでは、鍛治川様、よろしくお願いします。 「今日は、スピードマスターXL106導入についての背景並びに目的についてお話しします。 今回の導入にあたってひとつ前段として話さなければいけないことがあります。2年前の11月26日に、プライムファイア106を導入したプレス発表会を行いました。その際に「ハコプレ事業を20億円にするためのラストピース」という話をさせて頂きましたが、今回のお話はB1デジタルの夢を最先端のデジタルオフセットに繋いでいくという話であるという事です。 ご存じのとおり、2020年の3月にハイデルベルグからプライムファイア生産中止の発表がありました。その中にもありましたが、既存ユーザーについては、ハイデルベルグはサポートを続けるということでした。いいニュースではないと思いながらも、3つのことを考えてこれを受け止めました。ひとつ目が、B1デジタル機を唯一もっている会社としてサポート継続によるオンリーワンになるという期待。2つ目は、コロナ拡大の時期だったので収束時の開発再開への期待。3つ目が、万が一ハイデルベルグが開発を継続しないとしてもB1デジタル技術をもつメーカーに売却し、我々は引き続きデジタル印刷機を発展させていくことができる。という期待を持っていました。一方で最悪のケースも想定し、同時に代替策、他メーカー等についても模索してきました。 しかし、結果として、プライムファイア106で行っているビジネスを、「ほぼ代替」でき、のみならず、「できること」が大幅に増える投資になるということが検証できたので、スピードマスターXL106導入に踏み切りました。 形としては、プライムファイアの代わりにXL106を導入し、セッター(スープラセッター)も同時に導入することによって、一機にオフセット印刷の製造効率を高めてプライムファイアのように使っていくという形。もうひとつは、オフセット印刷機では完全には代替できない部分を最先端のフラットベッドデジタル印刷機2台を導入することによってカバーするという形です。これには、カバーするという意味合いと、成長著しいPOP市場をさらにこのフラットベッド機で開拓することも含まれています。 導入する機械は、2020ジェネレーションのXL106-7L、7色コーター付きのほぼフルオプションで、自動化や効率化を一気に進めることができる構成、それに加えてプリネクトを活用し、それらのオペレーションをすべてオーガナイズしてデジタル印刷機のように使っていくことを想定しています。 我々としては、カラーコントロールがデジタルで自動的に行われる、版替えの時間が大幅に効率化される、それらが、プリネクトによってコントロールされることが大きなポイントです。その中でも我々がテストをして、特に驚いたのは、この機械で、当然同じ用紙、基準値の印刷という前提条件はありますが、150枚のジョブを1時間に24ジョブをするというテストを見せられた時です。これを私は、他の方の言葉を借りて「オフセット印刷の逆襲」と呼んでいるのですが、1時間に24ジョブできるということに大きな衝撃を受けました。これは、計算をすると、3600枚(24x150)の正しい印刷物が24種類1時間以内に出来上がったことになります。現行のデジタル印刷機をもってしても様々な制約を考えると、これは実現できない数字ですので、小ロット多品種において、オフセット印刷機がここまで効率化されているということを改めて知った次第です。 我々は、オフセット印刷のサービスに対して手の届かなかった極小ロットをデジタルサービスのハコプレサービスでカバーしていくところからスタートして、デジタル印刷機の発展とともに、JETPRESSでその領域を広げ、さらにその広がった領域をプライムファイアで広げていく。つまり、オフセット印刷機は20年間技術は変わっていない。それに対して伸長著しいデジタル印刷機は今後オフセット印刷機の市場を侵食していくという未来を描いていました。 しかし、この「オフセット印刷の逆襲」と言われるオフセット印刷機の発展によって、現段階でオフセット印刷機の効率化が逆にデジタルの市場を侵食し始めていると判断しました。我々の試算によるとB1サイズにおいてはオフセット印刷機とデジタル印刷機の分岐点は200枚まで減少しています。これが意味するところは、200枚以上はオフセット印刷機でやった方が効率が良く、コストが安く、デジタル印刷機の小ロットでの強みは200枚以下に限られるということです。一方で、200枚以下についてはデジタルに優位性があるので、ここをカバーするためにフラットベッドの高品質な印刷ができる生産機を2台導入しました。 続く 「オフセット印刷の逆襲...