おはようございます。
バーチャル ドルッパ 2021 で、ハイデルベルグが配信した”人口知能(AI)”についてのエキスパートトーク、その日本語訳後半をお届けします。
それではどうぞ!
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ロレーナ・ホフマン(LH):これまで、我々は非常に一般的なレベルでAIについて話してきました。それでは、印刷メディア業界に焦点を当ててみましょう。人工知能は印刷の世界にどのような影響を与えているのでしょうか?
オリバー・デムス (OD):私たちは、人工知能を印刷機内でもう長い間使ってきています。例えば、印刷プロセスでお客様をサポートするアシスタンスがあります。これらは、インターネットを介して制御されているわけではありません。なぜなら、そうするとスピードが遅くなるからです。従って、AIは印刷機の最適化のために印刷機自体に組み込まれているのです。AI はパターンを探し、安定した稼働を維持するためにパラメーターを改善します。私たちはこれを”リアルタイムAI”と呼んでいます。用紙搬送を例にとってみましょう。センサーは、わずか数ミリ秒間隔でフィードバックを提供し、印刷機を調整します。そして、印刷機は、修正する必要がある場合、最適化が即座に行なわれ、再び安定して稼働します。私たちはこれを”インスタントAI”と呼んでいます。
デニス・ロスマネック(DR):もちろん、私たちは印刷機を単独で見るだけでなく、ワークフロー全体を考慮しています。人工知能は、このワークフローの改善にも役立っています。その一例が、ハイデルベルグのワークフローソフトウェアであるプリネクトです。すべての機械とプロセス、そして生産部門、営業部門、管理部門における要素を結び付けています。すべてが一緒になって、計画外のインシデントが発生した場合にのみ介入が必要となる完全自動運転の生産が可能となります。
OD:このすべては、総合設備効率、つまりOEEのパラメータを中心に展開します。ここで我々は、どのようにすればパフォーマンスをもっと向上できるか、より効率を上げられるかを知りたいのです。例えば、どのような仕事の構成であれば最も効率化がよいのか?色替えは?用紙サイズの変更は?これらすべてが既にAIが統合されている私たちのソフトウェア プリネクトでは考慮されています。
LH:人工知能が、プロセスを改善し、生産性を向上し、生産をできるだけサステナブルにするのに役立つわけですね。これまで、AIについて、ひとつのプリントショップに注目して話をしてきましたが、印刷会社がもっと広い視点でどのポジションにあるのかを知ることも重要ですよね。例えば、ある印刷会社のパフォーマンスは競合他社と比べてどうなのか?その印刷会社は、どの地域でもっとうまくビジネスをすることができるのか、また、しなければならないのか? ビッグデータと人工知能は、このような点で、どのよう役割を果たしますか?
DR:それは、クラウド コンピューティングに基づく AI という次のレベルです。それはどういう意味か?それは、私たちの学習基盤が非常に拡大したことを意味します。それは、もはや個々の印刷機やひとつの印刷会社に限定されません。例えば、13,000台の機械、そのうち7,000台は印刷機ですが、それらが、ハイデルベルククラウドに接続されています。それらが、6,000万を超える印刷ジョブのデータを私たちに送っています。そして、そのデータには多くの情報が含まれています。それらの情報やデータは、人工知能がなければ全く使うことができません。
OD:たとえば、私たちは、この情報をハイデルベルクアシスタント カスタマー ポータルでのパフォーマンス ベンチマークに使用しており、印刷会社は、同じような印刷の仕事をする他の印刷会社のデータと比較することができます。ここでは、異なるKPIを見ることができ、どこに改善の余地があるのかを知り、それに対してのアクションすることができます。さらにハイデルベルグアシスタントには、お客様のKPIを時間軸でも示しているので、傾向を見つけることができ、ここでも改善のためのアクションをとることができます。
DR:過去のパフォーマンスを振り返るだけでなく、「なぜ」を知っていることも重要です。お客様が特定の目標を達成していないのはなぜか? これについては、匿名化された比較データが、重要な追加情報を提供します。私たちは、は、2,000のハイデルベルグのお客様からデータを受け取っています 。比較を行うことで、印刷会社は、生産性を最適化するために修正が必要な要因を特定できます。たとえば、印刷速度や他の面で、お客様が良好なパフォーマンスを発揮していても、他の印刷会社よりも準備時間が遅かったり、多くのヤレを出している場合、それを修正するために何ができるかについて具体的なリコメンデーション(推奨)を提供します。以前なら、お客様は、自社と他の会社のパフォーマンスと比較することができなかったため、問題があることを単に知ることはなかったでしょう。
LH:それはすべて非常に簡単に聞こえますが、これらの提案される改善は、常にお客様と非常に密接に働いているコンサルタントでなければ提案できないのではないでしょうか?
OD:以前はそうでした。それぞれのお客様に対してコンサルタントがいました。しかし、ここで次のレベルのAIが登場します。 AIが、分析やアドバイスなど、ベーシックなコンサルタント機能を提供します。私たちは、PAT(パット)というAIを使っています。PATは、「パフォーマンスアドバイザーテクノロジー(Performance Advisor Technology)」のイニシャルで、これはクラウドベースのAIで、改善の提案をお客様に対して提供します。。
LH:そのテクノロジーはどのように機能しますか?もう少し説明してもらえますか。
OD:すべては、時間の経過とともにパラメータがどのように変化するかを調査し、偏差を識別する連続データ分析から始まります。他の機械に対するベンチマークも可能です。これがパフォーマンスアドバイザーテクノロジーです。PATは、異常を見つけ出するためにエキスパートによって作成されたルールのプールを使用しています。ハイデルベルグアシスタントでは、インシデント(出来事)とリコメンデーション(推奨)を表示することで、お客様に知らせます。私たちのエキスパートからの意見は、最終的にリコメンデーションを決定するのに大変重要であるため、全体のプロセスは、”スーパバイズドAI”として知られています。
DR:それだけではありません。お客様からのフィードバックにより、PAT は対策がいつ行われたかを把握できます。それはプロセスにおいて重要です。PATにとって次のステップは、どのように推薦事項がプロセスに影響したかを分析し、その方法がよかったか悪かったかを評価することです。これが、フィードバックのループを創造します。お客様からの情報は、私たちのデータに加えられます。この情報を使い、パターンを比較し、PATは常に学習するのです。そしてすべてはAIを使って完全自動で行われます。リコメンデーションは、継続的に監視され、ランキングシステムで再評価されます。そして、成功の確立が向上します。
LH:はい、人工知能は複数のレベルで動作することがわかりまりました。機械レベルでは、プロセスは機械学習によって改善されます。つまり、プロセスを自律的に最適化するインテリジェントなアシスタントですね。印刷会社内では、インテリジェントなワークフローにより、インターフェイスの数が減り、自律的なプロセスが可能になります。一方、クラウドでの包括的なデータ分析は、最適化の可能性を強調し、マネジメントチームが業界の中での比較に基づいて意思決定をするのに役立つのですね。
OD:そのとおりです。究極的には、人工知能は印刷会社に関連するすべてのレベルで影響を及ぼします。効果、そして効率化に欠かせないすべてのプロセスを変えることでしょう。
LH:別の言い方をすれば、AIはお客様の生産性を飛躍的に向上させ、よりよいビジネスをするのに役立ちます。生産をよりコスト効率化しサステナブルにできます。また、エネルギー、資源、紙、そして印刷資材を減らすことができ、環境のためのベネフィットである印刷会社のカーボンフットプリントを軽減します。それこそが未来です。オリバー、デニス、素晴らしい考察をありがとう。そして、視聴者の皆様、ありがとうございました。
終
いかがでしたでしょうか。2回に渡ってお送りした人口知能(AI)についてのハイデルベルグのエキスパートトーク。少しでもお楽しみ頂けたなら幸いです!
バーチャル ドルッパ 2021 エキスパートトーク 人工知能(AI)#1 はこちらから。