おはようございます!
ハイデルベルグのサブスクリプションに含まれるアクティビティのひとつであるコンサルティングが今ご好評を頂いています。今日は、そのコンサルティングに携わっている二人のエキスパート、ハイデルベルグ・ジャパン、ライフサイクルオペレーションズの岡田氏と波田野氏にインタビューをしてみました。
J-Connect編集部:まずは、なぜハイデルベルグ・ジャパンが、コンサルティングを始めたかを教えて頂けますか?
波田野:サブスクリプションプラスが、2019年10月に、日本の第一号として北陸サンライズ様に導入されることが決まりました。その中で、印刷機2台を1台にして、今まで2台で行っていた仕事を1台で賄うというご提案をハイデルベルグ・ジャパンとしてさせて頂きました。それを実現するためには、生産性を最大化しなければなりません。そこで、その実現をサポートするために、コンサルティングが始まりました。
J編:お客様へのトレーニングやコンサルティングは、ハイデルベルグ・ジャパンとしては以前からやっていましたよね?何が違うのでしょうか?
波田野:はい、もちろん印刷機械が新しく入った時や、お客様からご依頼があれば、その都度訪問させて頂き、トレーニングやコンサルティングを実施していました。しかし、サブスクリプションに含まれるコンサルティングとの大きな違いは、長期にわたって定期的に実施されるということです。これによって、生産性を最大化するためのPDCA(Plan/計画、Do/実行、Check/測定・評価、Action/対策・改善)をお客様と一緒に確実に進めることができるようになりました。今までは、トレーニングやコンサルティングで短期的に訪問しても、長期にわたってお客様といっしょになってPDCAを回していくということは余りありませんでした。短期ですと、トレーニングや勉強会をして新しいやり方等をご紹介/ご指導しても、なかなかそれが根付かずに、いつの間にか今ままでとおりのやり方に戻ってしまうということが多かったのではと思います。
J編:コンサルティング自体は、以前との違いはありますか?
波田野:はい、今までとは内容的にも随分変わってきています。ひとつは必ず数値をベースに動く事です。つまり徹底的にデータを使って、それを基に改善を進めていくということです。ハイデルベルグ・ジャパンが提供している動画にもあるように、私たちの印刷機には3000以上のセンサーが装備されていて、日々多くのデータを提供してくれています。そのデータは、私たちのDXツール ”ハイデルベルグアシスタント” でも見ることができ、パフォーマンス状況も確認出来ます。そのデータ(数値)から現状の把握と現場での確認で改善策を見つけ出し、目標(KPI)数値に向けて計画を立てて実施します。あとは、その計画を実行して、定期的に実行した結果を都度数値で確認し、必要があれば計画を修正します。これらの内容は現地での写真撮影やトレーニング資料などと併せ関係者の皆様と情報を共有しています。
岡田:もうひとつの違いは、生産性を最大化するために、現場の方たちだけではなく、トップマネジメントやディシジョンメーカー(経営陣や意思決定者)の方たちにも必ず関わって頂くという点です。具体的には、毎月お客様とミーティングを行いますが、必ずトップマネジメントやディシジョンメーカーの方にもご参加頂くようにお願いしています。なぜなら、生産性を従来の倍にしたり、最大化したりするためには、印刷現場の小さな改善だけでは実現できないからです。また、印刷現場の方たちの努力だけでは変えられないこともたくさんあります。トップマネジメントの方にもご理解を頂くことによって、会社全体で仕事のプロセスを変えるとか、根本的に仕事のやり方を変えるとか、現場の働き方を変えるとか、今まで現場だけでは難しかった改革も実行できるようになります。
J編:なるほど。ところで、数値というのは、具体的にはどんな数値ですか?
波田野:印刷速度や、ヤレ紙の数などはもちろんですが、もうひとつ大切なのは時間ですね。特に、小ロット多品種化している今、仕事を替える度に準備時間にどれだけ費やしているかは全体の生産性を考える上で非常に重要です。ですから、コンサルティングのプログラムの中には、準備時間を徹底的に最小化するためのメイクレディワークショップというプログラムがあり、このワークショップは、サブスクリプションのお客様では必ず実施するようにしています。
岡田:また、そうした数値を最終的には金額に置き換え、コストとしてお客様に、特にトップマネジメントやディシジョンメーカーの方たちには見て頂くようにしています。「現状では、これだけの金額の無駄がある。つまりお金を捨ててしまっている。改善することによって、そのコストを利益に変えることができる。」ということをマネジメントの方たちに知って頂くためです。もちろん、マネジメントの方達は、コスト=お金には、非常に関心が高いです。
もうひとつ、トップマネジメントやディシジョンメーカーの方たちの関心が高いのは、ご自分の会社が他社と比べてどうなのかということです。ハイデルベルグのDXツールでは、お客様のパフォーマンスが、世界の中でどのくらいなのか、日本の中でどのくらいなのか、また、同じような仕事をしている会社と比較した数値をお見せすると、目つきが変わられる経営者の方もいらっしゃいます。
J編:メイクレディワークショップとおっしゃいましたが、コンサルティングでは、それ以外のワークショップもあるのでしょうか?
岡田:はい、他にも、ポテンシャルアナリシス、リーダーシップ、5S、スピード等をテーマにしたワークショップメニューがあります。また、コンサルティングの方法は、誰がやってもハイデルベルグとして同じコンサルティングが提供できるように、ドイツ本社でシステマティックに決められていて、我々も定期的にトレーニングを受けています。ドイツ本社には、今あげた4つ以外にも更に10以上のワークショップのメニューがあります。今後日本のお客様のニーズを見極めながら順次導入していきたいと思っています。
波田野:コンサルティングでは、最初にポテンシャルアナリシスを2日間かけて行います。ポテンシャルアナリシスには、10項目のご質問があり、お客様への問診とそれを現場で確認することによって、どこにどれだけのポテンシャルがあるかを見つけ出します。そして、ポテンシャルが高いところから改善を進めていきます。お客様が準備時間をまだまだ短くできるポテンシャルをもっていればメイクレディワークショップを、5Sをすることによってまだまだ生産性を改善できるポテンシャルがもっていれば5Sのワークショップをというように進めていき、段階的に生産性を上げていきます。
J編:コンサルティングをやっていて改めて思う事はありますか?
波田野:ポテンシャルを見つけて、そのポテンシャルが向上し、結果が出て、お客様に喜んで頂ける時は、最高に嬉しい瞬間ですね。長期で定期的にお客様に訪問するので、コミュニケーションも取れてくる。同じ目線で話ができるようになってきます。言葉だけでなく、実際に数値で成果が出てくる。そうすることによって、お互いの信頼関係が深まっていくのを実感した時もやりがいを感じますね。従来の短期の訪問では、これはなかなか難しいことだったと思います。
逆につらいのは、現場の方たちに、「ハイデルベルグが自分たちの粗探しをしに来たのではないか?」と、思われているかもしれないなと感じる時ですね。コンサルティングは、会社を良くしようと皆でする取り組みであって、誰かを責めるものではありません。例えば、メンテナンスをしていないという現状があった場合、会社としてメンテナンスする時間を取っているのかを課題として、それを皆で考えることにする。そういうことを見える化する。機械の便利な機能を使っていなくても、それを責めるわけではなくて、それを使うためのトレーニングの提案をする。決して個人に対して粗探しをしに来たわけではない。こうしたことを、現場の人たちに丁寧に説明し、ご理解いただくことも大切かなと思っています。
J編:コンサルティングにおいて、今後の課題はありますか?
岡田:今日お話ししたコンサルティングは、サブスクリプションの一部として行っていますが、お客様から、コンサルティングだけをやってくれないかというようなお問い合わせもいただくようになっています。今、コンサルティングだけを単独でご提供する方法を見つけることが、ひとつの課題ですね。実際、今社内で検討しています。
波田野:私たちハイデルベルグのコンサルタントとしては、もっと多くのお客様のポテンシャルを引き出して、生産性を最大化することによって、お客様のビジネスの成功に貢献したいと思っています。
J編:ありがとうございました。これからが、ますます楽しみですね。期待しています!