おはようございます!
ご存じの方もいらっしゃるかと思いますが、先日、ハイデルベルグ・ジャパンでは、アインズ株式会社様の大森社長にインタビューをさせていただきました。
J-Connect編集部(以下、J編): まずは御社の強み、特徴をお伺いできますでしょうか?
私たちの一番の特徴は、印刷物をお使いになる一般企業をクライアントとして、ほぼ100%が直接取引を行っている点です。このためお客様の声を直接お伺いし、ご提案をさせていただくアプローチが出来るのが最大の強みであり特徴です。
さらには県内6か所、県外6か所の営業拠点を持ち、滋賀県を中心に東京、名古屋、大阪など主要市場を幅広くサポートをしているところも特徴です。滋賀県は日本のちょうど真ん中に位置しますよね、ナショナルクライアント様のデリバリーなど、全国対象の納品といったことが求められる場面でも、地の利を生かすことが出来ています。
また地域とのつながりを強めながら、軸となる商業印刷/パッケージ/帳票類の印刷事業に加え、マーケティングコンサルティングからスポーツ支援事業、クラウドファンディング事業のようなさまざまな新規事業の開拓を進めています。
J編: 新規事業の開拓はどのようなきっかけではじまったのですか?
私が社長に就任したのが2008年でリーマンショックの時でした。
『さあ、やるぞ!』という時にいきなりの出来事でした。
すべてのものが止まったんですね。特に都市部やナショナルカンパニーにおいては軒並み広告宣伝費の凍結、削減が起きる中をなんとか過ごしました。
そして数年が経ち、やっと少し上向いたと思った矢先、2011年に今度は東日本大震災が発生しました。
そこで浮かんだのは、ピーター・ドラッカーの「社会は一夜にしていかなる企業も消滅させる力を持つ」という言葉です。それまで当社では、会社として顧客満足に重きをおいていましたが『アインズが社会に存在する意義・理由はどこにあるのか』を求めない限り、存続というか、それこそ一夜にして社会に消滅させられると考え始めました。
それまでは自社の商品特性を軸としたPRや営業活動が主体でしたが、そうではなく、お客様にとって、または社会にとって私たちがどう存在できるかというところを追求し始めました。
J編: 自社の出来ることではなく、求められることを追求し、提供するようにシフトしたのですね。
印刷ってコミュニケ―ションのお手伝いをするという側面を持ちますので、コミュニケーションを軸に、社会のプラットフォームとなって課題を解決していこう、といった方向性を持ち出し「コミュニケーションプラットフォームカンパニー」として色々な事業を立ち上げているところです。
J編: そのような中でXL106を導入いただいた理由を伺えますか?
人手不足、若い世代の人口減少などの影響から、昔は採用できたような若手が採用できない時代です。
さらには技術進歩のスピードも上がっています。一昔前は10年で1人前のオペレータという時代がありましたが、10年後の業界像がはっきりと見通しにくい今の時代の中で、10年かけて1人前を育成するという、そんなスピード感ではダメだと思ったのです。ですので、完全自動運転印刷が出来るPush to Stopを導入するに至りました。
Push to Stopは最新の印刷機を導入したからできる訳ではなく、コミュニケーションを人からデジタルに移行していかないと実現しません。さらには工場内だけではなく、営業という仕事のインプットから、製品としてのアウトプットされるまで、すべてをデジタルで統一することが必要です。それができて初めてスマートファクトリーが実現するのではと考えて、今回導入をいたしました。
J編: 導入後の効果はいかがですか?
生産性はスペック通り上がっています。ですが、重要なことはそれだけではありません。スピードマスターXL106という1台の印刷機を導入したことは、当社のデジタルトランスフォーメーションの起点となった、ととらえています。ですから生産面では当然ながらスペック通りに生産効率やマシンスピードの向上などの効率化を図れていますが、それ以外の部分を含め、スマートカンパニー化の起点となるマシンという位置づけをしています。
今までの人の経験値に頼っていた部分をデジタル化することによって、人材不足や経験不足が補えることは、何年もかけて人材を育成する余裕が持てない私たちの業界にとっては非常に魅力的です。これを活用することができれば、私たちは勝つことができる、と直感しました。
もちろん、どこでもできることを同じようにやっていても差別化はできませんので、私たちの経営方針に則った工場や生産体制にしていきたいと思います。そうすると壁はつねに出てくるものです。後工程で困りごとが出たり、印刷機自体もまだ完全に使いこなせていないなどの部分もありますが、そうした壁はあってしかるべきで、差別化を狙うためには挑戦が必要となると考えています。
大森社長、ありがとうございました!
より詳しいお話については、こちらの記事にてご紹介しています(リンク)