おはようございます!
ご存じの方もいらっしゃるかと思いますが、ハイデルベルグ・ジャパンでは、株式会社ウエマツ様の福田社長にインタビューをさせていただきました。
J-Connect編集部(以下、J編): まずはPush to Stopの生みの親、アンソニーとの出会いからお伺いできますか?
福田社長: かねてから弊社では生産性の向上に取り組む中で、世界で一番生産性が高い会社を見てみたいと思い、ハイデルベルグさんに相談したところ、イギリスに驚異的な稼働率を記録している会社があるということで2014年に見に行きました。
訪問したのはESPという会社で、そこでは1時間に24台、1台を2分半で印刷するという驚異的な内容を見ました。もちろん、やっている内容は違いますし、出来ない理由はいくらでもあるのですが、何かエッセンスを自社にも取り入れられないかと思い、勉強をさせていただきました。
それが当時ESPのディレクターであり、現在ハイデルベルグのプリネクト本部長を務めるアンソニーとの出会いでした。
J編: その当時の業界環境はいかがでしたか?
福田社長: もともと私は他業界の出身ですが、色々な産業界を見たときに、なぜ印刷業界の稼働率はこんなにも低いのか?という疑問を持っていました。これは印刷だからしょうがない、という意見を耳にすることも多く、生産性を追求するという点においては、他業界に比べやや遅れている印象を持っていました。
そのため世界の状況や、他の産業も見に行ったりと生産性向上のために色々とトライをしてきました。その中でアンソニーがPush to Stopを実現している姿を見たときには、目からうろこが落ちた気になりました。
J編: 本題でもありますが、Push to Stopを導入した理由をお伺いできますか。
福田社長: 業界が縮小を続ける中ですが、売上げと利益、この2つを上げて行こうと一生懸命取り組んでいます。
売上げは単価×数量で生まれるものですが、これが自分たちでコントロールできるかというと、単価は競争の中でお客様との需給バランスによって決まるため、単独でコントロールするのは難しいものです。一方の数量についても、小ロット化は世の中の大きな流れですから、我々1社でコントロールはできません。これを考えると実は、売上げはコントロールできないということになります。
J編: たしかに、、おっしゃる通りですね。
福田社長: 次に利益については、一定の売上げの中における生産効率の向上と、資材コストの低減から生まれてくるものです。ここで最も大きなことは、生産効率を上げることは我々にできる唯一のことであり、この効率を上げる考え方がPush to Stopというキーワードなんだと理解し、取り組んでいます。
J編: なるほど。導入いただいた効果はいかがですか?
福田社長: 最新式のスピードマスターXL106が導入されて、版替え、ブラン洗浄、ローラー洗浄が同時に行え、1分半ですべてを終えられるようになりました。つまり前のジョブが刷り終わってから1分半後には次のジョブの試し刷りが自動ではじまるということで、前準備が驚異的に短縮できました。
他の印刷機を使っているクルーも、この驚異的な生産性に目を見張っており、これまでは自分たちの準備時間や生産スピードで、「しょうがない」としていた部分も、「実際にできる」と、考え方そのものが変わってきており、生産現場に非常に良い影響を与えています。
また、弊社のお客様は100%印刷会社様です。皆様印刷のプロですので、当社にそのような設備が導入されたことについては我々の想像以上に注目を集めていて、「ハイデルベルグの新台を見せてください」といった方は非常に増えており、工場見学が営業ツールの一環となっています。
お客様の反応も非常に良く、機械指定の受注や、信頼につながっているといった実感を得られているところです。
J編: 最後にメッセージをいただけますか?
福田社長: 当社の製造現場でのキーワードは異次元です。異次元とは、全くの別世界に行く、想像のできない世界に行くということです。
要するに「5%向上させなさい」と言われたら、現状のやり方の改良で達成できますが、「倍にしなさい」といわれたら、現状の延長線上では方策は見つかりません。このような次元のことを異次元と呼んでいて、製造現場における生産効率向上の目標にしています。
そして、この異次元を実現するためのキーワードが、Push to Stopだと考えています。
福田社長、ありがとうございました!
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