おはようございます!
先日、ドイツのハイデルベルグ本社と、ハイデルベルグ・アジアパシフィックより、それぞれの地域における枚葉印刷機の製品部門責任者が来日しました。この機会を利用して、J-Connectでは、枚葉オフセット印刷の未来や日本市場への期待、展望について、インタビューをしてみました。
ドイツ、アジアパシフィック、さらに日本の製品責任者のインタビューを回を分けて掲載していきたいと思います。今回はハイデルベルグ本社のシートフェッド製品部門の責任者のライナー・ボルフのインタビューです。
J-Connect編集部(以下、J編): まずはご自身について簡単に伺えますか?
ライナー: 日本の皆様はじめまして、私はライナー・ボルフと申します。私は19年前にハイデルベルグに入社しまして、現在はグローバルのシートフェッド製品部門の責任者を務めています。
J編: 今回の来日の目的は何ですか?
ライナー: 日本は枚葉印刷機のユニット換算で、世界で2番目に大きいマーケットです。従って当然ながら、私たち製品担当にとっては日本のお客様が抱える課題やニーズ、市場動向などを理解することが非常に重要です。
J編: 日本のマーケットをどのように捉えていますか?
ライナー: 2008年以降、日本のマーケットは安定的に推移していると思います。世界中でも類を見ないほどお客様の要求が高い日本という国で、ドイツの自動車メーカーと比較しても高いマーケットシェアを獲得していることを非常に誇りに思っています。
日本のお客様は、私たちの強力な組織に信頼をおき、さらに私たちの枚葉印刷機が実現する生産性に価値を感じて頂いています。また、ここ日本では、他の市場で後々起こることを早い段階で見ることができます。例えば、それは昨年ご紹介した自動化の特徴や、印刷会社における人材不足への新しいソリューションなどです。
J編: 日本のお客様に向けて、どのようなメッセージがありますか?
ライナー: これまでと同様に、印刷は非常に重要な産業であり続け、その中で枚葉オフセット印刷は主要な役割を担い続けます。一方、デジタル化と新しいビジネスモデルの創出によって、市場は急速に変化します。これは私たちが生産性を新たなレベルに引き上げる“Push to Stop”と、第2世代のインテリスタートをご紹介したdrupa2016年以降の出来事からもお分かりだと思います。
インダストリアルオフセットがこれほど高い競争力を持ったことはかつてありません。そして将来はより多くのすぐれたデータによってAIの活用が加速し、私たちが今日では想像できないほどのプロセスチェーンの最適化が実現していくと思います。
インダストリアルプリンティングは、計画性、再現性、そして、信頼性がなくてはなりません。そして、それがオペレータへの依存を最少にしていきます。
シンプルなオペレーションと最高の自動化はハイデルベルグのDNAに深く刻み込まれています。これにより、スピードマスター印刷機はオペレータに支持されているのです。
J編: デジタルの時代、そして多くのデジタル印刷機が登場している中で、、枚葉オフセット印刷機の未来をどのように考えていますか?
ライナー: 先ほど述べたような先進的な枚葉オフセット印刷機による生産は、純粋にコストに関して言えば極めて高い競争力を持ちます。さらに原反の柔軟性、高品質な再現性、バラエティに富んだ印刷アプリケーションがオフセットの変わらぬ強みです。ドイツの主要なオンライン印刷会社が、オフセットで50枚の印刷がビジネスとして成り立つソリューションを私たちに求めていることからも明らかだと思います
デジタル印刷会社がオフセットと純粋にコストで競争してしまうと収益性のあるビジネスを確立するのに苦労すると思います。時々お客様の中で自社で稼働する10年前のオフセット機と最新のデジタル印刷機とを比較するケースがありますが、このような場合には最先端のデジタル印刷技術に興味を引き付けられるのはわかります。しかし成功するデジタル印刷ビジネスは、本来デジタル印刷の強みにもとづいた提案に注力し、短納期対応やバージョニング、パーソナライズなどを異なる価格帯とともに提供することだと思います。