おはようございます! 今日はオフセット印刷機のメインテナンスに関する話題をプリントメディアアカデミーで講師も務めていたハイデルベルグ・ジャパンの田中に話をしてもらいます。テーマは、ローラーのグレーズ。それではどうぞ! 最近グレージングしている印刷機械を見かける機会が多くなりました。グレーズ自体は昔からあった現象で、多くは用紙、H液やインキなどのカルシウム類の堆積によるものです。近年の印刷機械は性能が良くなり、生産性が高くなっているために以前よりも早くグレーズが起きてしまうと考えられています。オペレータの方は生産できているので気にしていないケースも多く見受けられます。しかし、気づいた時には既に手遅れで、そのグレーズを除去するのに多大な時間と労力を必要とします。 ではグレーズはどのようなトラブルにつながるでしょうか? まずグレーズが起きるとローラー間のインキの転移が損なわれます。ひどくなるとインキが載らなくなり「インキ禿」といった現象も引き起こします。その為、インキの転移が悪くなったところは色が薄くなるので必要以上にインキを呼び出さなければいけなくなり、過乳化の原因にもなります。過乳化になると、乾燥不良が起きたり、色むらが起きたりといった印刷トラブルにも繋がります。 今回はグレーズの原因の一つであるローラー洗浄について説明していきます。 ローラー洗浄がいかに重要であるか? 日頃のメンテナンスと同じで、「やっている」と「出来ている」では大違いです。 ローラー洗浄は色替えの時などは、洗浄不足により前の色が出てきたりすると印刷トラブルにつながるので比較的慎重に行うかもしれません。しかし、仕事の終了時などは疲労もあり自動洗浄のボタンだけ押して終了なんてこともあるかもしれません。このローラー洗浄の際に気を付けなければいけない重要なポイントがあります。 それは洗浄時のドクター刃の状態です。ドクター刃にインキが盛り上がって溜まっていたりしていませんか? 特にUV印刷の機械で多く見受けられます。UVインキは油性のインキよりも溶けにくいせいか、ドクター刃の上に溜まりやすいです。もちろん油性インキでも同様に置きますので注意してみてください。 下記のようにドクターの刃先にインキが溜まってしまうと、後からきた洗浄液がこのインキを乗り越えられずローラー内に戻ってしまう為、回収不良=洗浄不良となります。 回収されなかった洗浄液はローラー上で乾燥してグレージングとなります。 皆さんの印刷機械でローラー洗浄時にこのような状況があった場合には、洗浄プログラムの見直しが必要です。ドクター刃にインキが溜まらないようなプログラムの設定もしくは溶剤を使用して最初にインキを溶かす事が必要になります。 ご不明な事があれば、いつでもお気軽にハイデルベルグ・ジャパン(03-5715-7377)までお問い合わせ、ご相談ください。